【2023年最新版】EC市場規模は20兆円を突破!トレンドを経産省調査から読み解く
国内のBtoC-EC市場は2021年に20兆円を突破しました。巣ごもり需要の拡大で物販やデジタルコンテンツのEC需要が拡大しています。
ただ、今後はコロナ禍の収束によってEC市場が踊り場を迎える可能性もあり、先行きは楽観できません。EC市場を勝ち抜くには、綿密な事業戦略を立てることが必要であり、そのベースとなるEC関連の各種市場統計を理解しておくことが重要です。
本項では、経済産業省が2022年8月12日に公表した「令和3年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」をもとにEC市場の最新動向をまとめました。BtoC-ECのトレンドやEC化率、BtoB-ECとCtoC-ECの現状、商品カテゴリごとの市場規模やEC化率なども解説しています。2022年以降の事業計画を立てる際の参考にしてください。
【この記事はこんな方にオススメです】
「2021年のEC市場動向を踏まえ、今後の事業戦略を立てたい」
「自社カテゴリのEC市場規模やEC化率を知りたい」
「BtoC-EC、BtoB-EC、CtoC-ECのトレンドを把握したい」
目次
- EC市場規模は前年比7.35%増の20.6兆円
- 物販ECの市場規模は13.2兆円、EC化率は8.78%
- サービス系ECの市場規模:フードデリバリーサービスが急成長
- デジタル系ECの市場規模:娯楽分野は引き続き好調
- BtoB-ECの市場規模:EC化は事業成長の重要施策
- CtoC-ECの市場規模:インドア向け娯楽用品が売れ筋
- リピーターを増やすCRM施策が一層重要に
EC市場規模は前年比7.35%増の20.6兆円
2021年における国内のBtoC-EC市場(一般消費者向けの「物販」「サービス」「デジタル」の市場規模の合計)は前年比7.35%増の20兆6950億円でした。前年と比べて1兆4171億円増加しています。巣ごもり需要の拡大で「物販系分野」と「デジタル分野」の市場規模が伸びたほか、コロナ禍で苦戦している「サービス系分野」も前年をわずかに上回り、市場規模は2年ぶりに増加しました。
なお、2020年は新型コロナウイルスの影響で外出自粛が広がり、物販系分野とデジタル分野の市場規模が大幅に拡大した一方、旅行や外食の自粛によってサービス分野の市場規模が激減し、国内のBtoC-EC市場規模は初めて前年を下回りました。
2021年はサービス分野が前年比1.29%と微増に転じたほか、物販系分野とデジタル分野が引き続き拡大したことから、EC市場は踊り場を脱しています。新型コロナウイルスの影響が本格化する以前の2019年と比べても、2021年の市場規模は1兆3341億円(6.9%)の増加でした。


物販ECの市場規模は13.2兆円、EC化率は8.78%
ここからはEC市場の「物販系分野」について詳しく解説します。2021年における物販系分野のBtoC-EC市場規模は、前年比8.61%増の13兆2865億円でした。EC化率は8.78%で、2020年と比べて0.70ポイント上昇しています。
物販系分野の成長率は鈍化しましたが、2020年はコロナ禍で巣ごもり需要が拡大し、前年比21.71%増という異例の成長率だったことを踏まえると、物販系分野の市場環境は引き続き好調だったと言えるでしょう。
なお、日本国内の小売市場(小売業の商業販売額)は近年、150兆円ほどでほぼ横ばいですから、コロナ禍で小売市場のECシフトが急速に進んだことは数字の上でも明白です。

カテゴリ別の市場規模:EC化率は軒並み上昇
物販系分野におけるカテゴリ別の市場規模を見てみましょう。市場規模が大きいカテゴリは「食品、飲料、酒類」(2兆5199億円)、「生活家電・AV機器・PC・周辺機器等」(2兆4584億円)、「衣類・服装雑貨等」(2兆4279億円)、「生活雑貨、家具、インテリア」(2兆2752億円)の4カテゴリです。それぞれ2兆円を超えており、これら4つのカテゴリの合計で物販系分野の73%を占めています。
EC化率に目を向けると「書籍、映像・音楽ソフト」(46.20%)は市場規模の半分近くをECが占めていることがわかります。「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」(38.13%)は4割弱、「生活雑貨、家具、インテリア」(28.25%)と「衣類・服飾雑貨等」(21.15%)は2割を超えています。他のカテゴリもEC化率は軒並み上昇しました。

スマホ経由のEC利用者が52%:今後も拡大する見込み
物販系分野におけるスマホ経由の市場規模は、前年比11.5%増の6兆9421億円でした。物販系分野の52.2%を占めています。市場規模の増加金額は7152億円であり、物販系分野全体の増加額(1兆532億円)のおよそ3分の2(67.9%)をスマホ経由の伸びが占めました。
なお、パソコン経由の市場規模の伸び率は前年比5.6%増ですから、スマホECの成長率はパソコンECの2倍以上です。次世代通信規格「5G」の普及などにより、今後もスマホECは拡大していくと見られています。EC事業を伸ばしていくには、自社ECサイトを設計する際にアプリ化を含めてスマホ最適化を優先すべきでしょう。

GDPや小売販売額とEC市場を比較
BtoC-ECの成長性を客観的に考察するため、日本の実質GDP成長率や小売業販売額といったマクロ統計と比較してみましょう。
2021年における日本の実質GDP成長率は年率1.6%(※1)でした。BtoC-EC市場の成長率は前年比7.35%増ですから、これらの数字を比較するとEC業界がいかに有望な市場であるかを実感できるのではないでしょうか。
※1 出典:内閣府 統計表一覧(2021年10-12月期 2次速報値 Ⅰ国内総生産(支出側)および需要項目 増加率実質暦年(前年比) 2-22年3月9日公表
また、2021年における小売業販売額は150兆4620億円で、成長率は前年比1.9%でした。一方、物販系分野のBtoC-EC市場の伸び率は前年比8.61%です。小売市場全体の伸び率が1.9%にとどまっていることを踏まえると、EC市場が拡大している要因は国内マーケットそのものが拡大しているからではなく、消費者が買い物をする場所(購入チャネル)が実店舗からECにシフトした結果であると言えるでしょう。
販売チャネル別の市場規模の推移:購買行動のデジタル化が顕著
コンビニやスーパーマーケット、百貨店といった実店舗の市場規模とECの市場規模を比較すると、買い物のデジタルシフトが進んでいることがより鮮明になります。
次のグラフは、国内におけるチャネル別の市場規模(販売金額)の年次推移をまとめたものです。このグラフを見ると、消費者の購入チャネルがECへとシフトしていることが直感的に理解できるのではないでしょうか。ECの市場規模は2020年にはコンビニを上回り、スーパーマーケットに次ぐ第2位となっています。EC市場が今後もこれまでと同程度の伸び率を維持すれば、数年以内にスーパーマーケットを上回り、販売チャネル別で国内トップの市場規模になるでしょう。

サービス系ECの市場規模:フードデリバリーサービスが急成長
旅行や飲食店予約、チケット販売など「サービス系分野」の2021年におけるEC市場規模は、前年比1.29%増の4兆6424億円でした。市場規模は2020年をわずかに上回りましたが、コロナ禍で旅行や外食の需要は依然として低迷しており、2019年との比較では35.23%減と大幅に落ち込んでいます。
カテゴリ別では「チケット販売」や「金融サービス」の市場規模が拡大した一方、「旅行サービス」や「飲食サービス」が前年を下回りました。コロナ禍で需要が拡大した「フードデリバリーサービス」は前年比37.48%と大きく伸びています。

デジタル系ECの市場規模:娯楽分野は引き続き好調
電子書籍や音楽配信、動画配信、オンラインゲームといった「デジタル系分野」は、巣ごもり需要の高まりを背景に前年比12.38%増の2兆7661億円でした。2021年の成長率はやや鈍化したものの、「電子出版」が前年比24.23%と引き続き伸びたほか、「有料動画配信」や「有料音楽配信」の成長率も10%を超えています。

BtoB-ECの市場規模:EC化は事業成長の重要施策
ここからはBtoB(法人間の商取引)のEC市場について解説します。2021年のBtoB-ECの市場規模は前年比11.3%増の372兆7073億円でした。EC化率は35.6%で、前年と比べて2.1ポイント上昇しています。2020年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響によってBtoB-EC市場が縮小しましたが、2021年は増加に転じ、2019年の市場規模を上回りました。

BtoB-EC市場規模の算出方法はBtoC-ECとは異なるため、市場規模の数字そのものを単純比較することはできませんが、BtoB-ECのEC化率が35.6%に達していることは注目すべきポイントです。EC化率を業種別に見ると製造業は特に高く、「食品」は67.2%、「繊維・日用品・化学」は47.9%です。
BtoBのEC化率がBtoCよりも高い理由は、法人取引では型番商品を定期的に発注することも多く、ECで受発注しやすいことが影響していると考えられます。BtoBのEC化率が年々高まっていることを踏まえると、メーカーや商社、問屋、代理店などが卸サイトを運営することはBtoBの事業拡大に重要であると言えるでしょう。

CtoC-ECの市場規模:インドア向け娯楽用品が売れ筋
フリマアプリやネットオークションを対象とした「CtoC-EC」の2021年における市場規模は、前年比12.9%増の2兆2121億円でした。2020年以降、巣ごもり需要の拡大によってCtoC-ECの市場も伸びています。経産省の調査資料によると、2021年はCtoC-ECの利用者の増加や、一人当たりの利用頻度の高まり、顧客単価の上昇といった動きも見られたようです。また、2021年の商品カテゴリの売れ筋については「インドアで楽しむエンタメ・ホビー用品が増加した様子が見られた」としています。
リピーターを増やすCRM施策が一層重要に
今回のコラムで解説した通り、EC市場は拡大を続けており、その背景には消費者の買い物のチャネルがオフラインからオンラインへとシフトしていることがあります。小売企業にとってECは欠かせないものであり、EC市場が拡大を続けている今こそEC事業を強化するチャンスと言えるでしょう。
ただし、近年は多くの小売企業がオムニチャネルを推進しているほか、メーカーのD2C参入が活発化するなど、EC市場における競争は激しさを増しています。リスティング広告の入札単価の高騰などによって、新規獲得コストの上昇に直面しているマーケターの方もいるのではないでしょうか。そして今後はコロナ禍が収束し、リベンジ消費が活発化することでEC市場の拡大が一服するかもしれません。そうなればオンラインでの顧客獲得競争が激しくなることは必至ですから、今後は「心地よい買い物体験」の実現やCRM施策を通じてECサイトのリピーターを増やすことが一層重要になるでしょう。
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