コロナ禍でのECサービスは、どう変化したのか?
2020年は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、EC業界でも大きな動きのある一年となりました。
緊急事態宣言が発令され、外出が抑制されると「巣ごもり需要」が拡大。はじめてECサイトで商品を購入される方も増え、大手モール全体の流通総額は、大きく伸びると同時に、自社ECサイトの売上も大きく伸びたなどのニュースも多かったようです。
新型コロナウイルス感染症の影響により、自社ECのEC化率が高まったとはいえ、実店舗の売上減を自社ECサイトで補えないケースも多いと思います。コロナ禍が収まるまでは、自社ECサイトがメインの小売業にとっては、まだまだ厳しい状況が続きそうです。
弊社では、ECマスターズクラブという会員制のサポートサービスを提供しており、1500社以上のEC事業者を支援しています。その1,500社以上の会員を対象に、コロナ禍によってECサイトの運営にどのような影響があったのかについて、アンケートを実施しました。
回答数450社の結果は、以下の通りです。
コロナウイルスの影響で売上に変化があった会社は「75.77%」
新型コロナウイルス感染症の影響での売上の変化を調査したところ、「売上が上がった」とした会社は56.44%、「売上が下がった」と回答した会社は 19.33%となりました。
外出が控えられ、卒業式や入学式、結婚式など人が集まる機会も減り、アパレル関連の商材を取扱うECサイトには、売上減も目立ちました。その反面、マスクやアルコール除菌などの衛生商品の取り扱うことで、売上を伸ばしているケースもあったようです。
「売上が下がった」要因としては、取り扱い商品が少なく、コロナ禍による需要減に耐えられなかったECサイトが多いようです。どのような状況でも必要とされ、リピートされる商材などの取り扱いも増やすなどの対応も重要と考えられます。
また、百貨店などに出向かない方も増えているため、お中元やお歳暮、バレンタインなどの贈答品や、おせちなどの売上が伸びているEC事業者も多く見られました。その結果、ギフト需要に力を入れることもポイントです。
コロナウイルスの影響で、給付金や助成金を利用された会社は「56.22%」
新型コロナウイルス感染症の影響で、利用された給付金、助成金に関する質問をしたところ、持続化給付金が 43.33%、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金が 11.11%、事業継続緊急対策(テレワーク)助成金が4.67%の会社で利用されていました。また、雇用調整助成金、家賃支援給付金など、その他をご利用されている会社も13.11%ありました。
テレワーク関連の助成金などは、売上減に関わらず受け取ることができる助成金です。これらの情報もしっかりと把握して、ECサイトの運営に活かすことも大切なことです。
弊社でも、テレワーク助成金にて、モニターとしても使えるiPad Proを購入し、リモートワークでも、事務所同様にデュアルモニターで、生産性を落とさず仕事に取り組めるよう対応しました。
コロナ禍で売上が下がった会社の「 81.61%」が給付金や助成金を利用
コロナ禍での売上変化別の、給付金や助成金の利用状況を調べたところ、売上が下がった会社の 81.61%が利用していることが判りました。また、売上が上がっている会社でも 47.24%が利用している結果が出ました。
これは、実店舗の売上減をECサイトでカバーできなかった事業者による申請があったため、高い数値となりました。
テレワークを導入されている会社は「31.11%」
テレワークを導入されている会社のうち、全スタッフを対象に導入している会社は 12.67%、一部のスタッフのみに導入している会社は18.44%でした。
AmazonのFBA(Fulfillment By Amazon)や楽天の物流にすべての商品を委託されている事業者は少なく、自社配送を行なっているEC事業者において、全スタッフへの導入が困難な現状を表しているのではないでしょうか。
テレワーク導入による売上変化の差はほとんどなかった。
テレワーク導入により、売上に変化があるかを調べてみました。その結果、導入していて売上の上がった方は 57.86%、導入していなくて売上が上がった方は 55.81%と、テレワーク導入による売上変化はほとんどありませんでした。
コロナ禍による売上への影響が大きく、テレワーク導入による影響を把握するのは難しいかもしれません。出勤時間がなくなり、代わりに商品登録やページ制作に時間を割くことができた事業者も多いと思われますので、長期の視点で見てみると売上の変化を感じられるかもしれません。
以上、コロナ禍でのECサービスの変化についてご紹介しました。新型コロナウイルス感染症の拡大がいつ落ち着くのか、また今後もこのような不測の事態が起きるか分かりません。そのためにも取り扱う商品や、スタッフの働く環境を見直してみるのも良いでしょう。
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