EC売上を伸ばす3ステップ!課題を見つけるサイト分析の方法と施策の選び方を解説
ECサイトの売り上げが伸び悩んでいるとき、「状況を改善したいが、何から手をつければ良いか分からない」と感じている方も多いのではないでしょうか。そういった悩みを持つ方に向けて、EC サイトの課題を特定し、成果につながる施策を選ぶフレームワークを解説します。課題解決につながる具体的な施策も紹介していますので、特に次のような悩みをお持ちの方は、EC運営の参考にしてください。
【こんな悩みを持つ方にオススメです】
・自社ECサイトの売り上げを伸ばしたいが、何から手をつければ良いか分からない
・自社ECサイトの課題解決につながる施策を知りたい
・施策の知識はあるが、優先順位をつけられない
施策を打つ前のサイト分析が重要である理由
売上アップのノウハウは巷にあふれています。インターネットで検索すれば、さまざまな施策を見つけることができるでしょう。参考までに、代表的な施策をリストアップしました。これらの施策はすべて売上アップに有効です。ただし、自社の課題解決にマッチしたものを選ばないと思うような成果につながらず、時間と労力の浪費になりかねません。
重要なのは「自社の課題解決につながる施策」を見極めること。そのためには、ECサイトの現状を把握し、ボトルネックを特定するための「サイト分析」が必要です。
【ECサイトの売上高を伸ばす主な施策】
(1) 認知向上のための施策
SEO、各種広告運用(リスティング広告、ディスプレイ広告、Googleショッピング広告、ターゲティング広告、テレビCM、新聞広告、雑誌広告、SNS広告)、インフルエンサーマーケティング、SNSアカウントの運用、動画マーケティング、ライブ配信
(2) 新規顧客獲得のための施策
Web接客(チャットボットなど)、新規購入特典、ランディングページ改善、レコメンド機能
(3) リピーター獲得のための施策
コンテンツの拡充、レビュー施策、ポイントプログラム、次回購入クーポン、カゴ落ち対策(リマインドメールやリターゲティング広告)、メールマーケティング、アプリマーケティング、同梱物(サンプルやサンクスレター)
(4) 客単価向上のための施策
セット販売(バンドル販売)、アップセル、送料無料ラインの設定
(5) 既存顧客の囲い込みのための施策
優良会員の優待制度、定期購入制度(サブスクリプションサービス)
(6) ECにおけるUI/UXの改善施策
サイト内検索の改善、カテゴリ分類の見直し、ファーストビュー(ヘッダ)の改善、ナビゲーションの改善、エントリーフォーム最適化(EFO)
ECサイトの売上アップを目指す際は、施策を実行する前に、①ECサイトの現状を把握するためのサイト分析を行い、②売上拡大のボトルネックを特定した上で、③課題解決に直結する施策を選ぶ――という手順を踏むことが成果を出すポイントになります。次章以降では、サイト分析の3ステップについて具体的に解説します。
▶︎ECサイトの売上を伸ばす3ステップ
① ECサイトの現状を把握するためのサイト分析を行う
② 売上拡大のボトルネックを特定する
③ 課題解決に直結する施策を選ぶ
ステップ① ECサイトの現状を把握するためのサイト分析
ステップ1では、ECサイトの現状を把握するために、「アクセス人数」「コンバージョン率」「客単価」「リピーターの人数」を調査します。これら4つの数値を調べることで、ECサイトの売り上げが伸び悩んでいる理由を大まかに把握することができます。
上記の例ではアクセス人数と客単価は伸びていますが、コンバージョン率が下がっています。「集客は上手くいっているのに、売り上げが伸びない」という悩みを持つネットショップによくある状態です。
また、リピーターの人数が横ばいであることも、ECサイト全体の売り上げが停滞している一因です。リピーターの人数が増えていない場合、新規顧客のリピーターへの引き上げ(F2転換)が上手くいっていないか、リピーターの離脱率が高止まりしていると考えられます。
ステップ② 売上拡大のボトルネックを特定
ステップ1でECサイトの弱点を把握したら、次に、売上拡大を阻害しているボトルネックを具体的に特定していきます。
例えば、「コンバージョン率」が弱点であることが分かったら、コンバージョン率に影響する直帰率やコンテンツの閲覧回数、入力フォームの離脱率、カゴ落ち率などを調査します。
「アクセス人数」「コンバージョン率」「客単価」「リピート売上」のそれぞれについて、調査すべき主な項目をリストアップしました。GA4などの分析ツールやECプラットフォームの分析機能、ヒートマップ分析ツールなどを使用し、項目ごとの月次実績を調べてください。月次実績を折線グラフで表し、伸び悩んでいる項目があれば、その項目がボトルネックだと判断できます。
ステップ③ 課題解決に直結する施策を選ぶ
ステップ2でボトルネックを特定したら、ステップ3では課題解決につながる施策を選択します。課題に応じた主な解決策を紹介しますので、施策を打つ際の参考にしてください。
オーガニック検索の流入数が伸び悩んでいる
【対策】SEO
オーガニック検索による流入数を増やすには、SEOを強化する必要があります。ユーザーが検索で使うキーワードをトップページやカテゴリページ、商品ページなどに対策してください。キーワードを盛り込んだコラムを書くことも効果的です。キーワードを探す際は、Googleのキーワードプランナーで検索ボリュームの多いキーワードを探したり、サーチコンソールなどで自社ECサイトの流入キーワードを調査したりすると良いでしょう。
広告経由の流入数が伸び悩んでいる
【対策】ターゲットに合った広告の選択とPDCA
広告経由の流入数を増やすには、ターゲットにマッチした広告媒体を選択することが重要です。例えば、認知獲得を重視するのであればSNS広告やディスプレイ広告、動画広告、インフルエンサーマーケティングが向いています。その際、若年女性へのリーチを狙うならTikTokを選択するなど、ターゲット層の年齢や性別に合ったプラットフォームを選びましょう。
なお、アクセス数よりもコンバージョン率を重視するなら、リスティング広告やGoogleショッピング広告など購入につながりやすい広告を使うと良いでしょう。
目的に合った広告を選択したら獲得ボリュームのKPIを設定し、運用開始後はクリエイティブのABテストや単価調整などを行いながら費用対効果の検証と改善を繰り返します。複数の広告媒体を運用する場合には、媒体ごとの費用対効果(CPA)を比較し、効果が高い媒体の予算を厚くするなど、定期的に運用を見直すことも大切です。
ランディングページの直帰率が高い
【対策1】顧客のニーズに合ったコンテンツを追加
ランディングページの直帰率が高い原因の1つは、ユーザーが求めている情報がページに盛り込まれていないことです。サイトを訪れたユーザーの心理(訪問目的)を推測し、その心理に沿ったコンテンツを掲載することで、購買意欲を途切れさせないことが重要です。
ユーザーの心理を推測する際は、オーガニック検索や検索連動広告の流入キーワードを調査してください。例えば、食品ECサイトで「父の日 おすすめ」や「上司 お歳暮」といった流入キーワードが多ければ、ギフト用の商品を探しているユーザーが多いという仮説が立ちます。贈答用に適した商品を目立たせたり、ギフトの選び方を解説するコンテンツを作ったりすることでユーザーの興味を惹きましょう。
【対策2】広告と一貫性のあるコンテンツを掲載
広告のクリエイティブとランディングページの内容に一貫性を持たせることも重要です。バナー広告に掲載した商品をランディングページのファーストビューに載せるなど、広告をクリックしたユーザーにとって違和感のない買い物体験を設計してください。
【対策3】ページの読み込み速度を改善
ページの読み込みに時間がかかるとユーザーの直帰率が高まります。ファイルサイズの大きい画像をたくさん使用していて読み込みに時間がかかるような場合は、画像を減らしたり、データを圧縮したりして読み込み速度を改善してください。なお、ページの表示速度を計測するには、Googleのページスピードインサイトなどを使うと良いでしょう。
ECサイトの離脱率が高い
【対策1】商品を探しやすいサイト内検索(検索窓/メニューバー/ハッシュタグ)
ECサイトを訪れたユーザーが商品を買わずに離脱することを防ぐには、商品を探しやすいサイト内検索を導入することが重要です。商品を探す方法としてもっともよく使われる「検索窓」を分かりやすい場所に設置し、表記ゆれ対策や検索順位の最適化なども行って、ユーザーと商品のマッチングの精度を高めてください。
また、検索でよく使われるキーワードなどをあらかじめ表示し、ユーザーがワンタップで商品を探せる「ハッシュタグ」を導入すると、ユーザーが商品を探しやすくなり、離脱率の抑制が期待できます。
【対策2】レコメンド機能やWeb接客
商品ページにレコメンド機能を実装し、関連商品やユーザーが興味を持ちそうな商品を表示すると、ユーザーの回遊率が高まってコンバージョン率の向上が期待できます。
また、新規ユーザーに限定して新規購入特典のバナーを表示したり、ECサイトから離脱しそうになったユーザーにポップアップでクーポンを表示したりするなど、Web接客を導入することもコンバージョン率の向上につながります。
チャットボットを実装し、ユーザーの疑問を即座に解消できるようにすることも離脱抑制に効果的です。
コンテンツの閲覧回数が少ない
【対策】サイト内検索の「コンテンツ検索」
コラムやコーディネート、動画、新着ニュースといったコンテンツは、ユーザーの購買意欲を高める効果があり、閲覧回数が多いユーザーほどコンバージョン率が高いという実証データもあります。
しかし、たくさんのコンテンツを作っても、ECサイトのページ内にコンテンツを表示する場所は限られるため、せっかく作ったコンテンツが埋もれてしまい、ユーザーの目に触れにくくなるといった課題があります。こうした課題を解決するには、サイト内検索の「コンテンツ検索」が有効です。
「コンテンツ検索」とは、キーワード検索の結果に商品だけでなく、商品に関連する特集ページやコーディネートといったコンテンツのバナーも表示する機能です。商品を探しているユーザーに相性の良いコンテンツを届けることで、商品理解を促すとともに、購買意欲を喚起します。
入力フォームの離脱率が高い
【施策】エントリーフォーム最適化(EFO)
会員登録フォームはユーザーが離脱しやすい箇所の1つです。特に、スマートフォンは画面がPCよりも小さく、文字を入力しにくいため、ユーザーが離脱しやすくなります。入力フォームからの離脱を防ぐには入力フォーム最適化(EFO)が有効です。EFOの取り組みには次のようなものがあります。
・入力項目を最小限に抑える
・文字のサイズや色を見やすくする
・スマホサイトの入力欄はタップしやすい大きさにする
・入力エラー(全角・半角など)があった場合、リアルタイムでエラー表示を行う
・プレースホルダー(入力欄に薄い文字で例を表示する機能)を導入する
・生年月日の入力欄はドロップダウン(プルダウン)にする
カゴ落ち率が高い
【対策1】カゴ落ちユーザーへのリマインドメール
カートに商品を入れた状態でECサイト離脱する「カゴ落ち」が多いとコンバーション率が低下します。カゴ落ちを防ぐ方法の1つは、カゴ落ちの一定時間後にユーザーにリマインドメールを送信し、カートへの復帰を促すこと。カートに商品が残っていることを知らせるだけでなく、商品画像を付けるとカート復帰率が上がると言われています。1通目のメールで購入に至らなかったユーザーに限定し、2通目のメールに期間限定クーポンを付けるなど、シナリオを組んで配信するのも良いでしょう。
【施策2】カゴ落ちユーザーへのリターゲティング広告
アドネットワークのディスプレイ広告を活用し、カゴ落ちしたユーザーにリターゲティング広告を配信すると、カートへの復帰を促進できます。この方法であれば、新規ユーザーやメールアドレスを登録していない会員にもリーチすることが可能です。
レビューの件数が少ない
【施策】レビュー投稿キャンペーン
商品ページのレビューはユーザーの購入を後押しする重要なコンテンツです。レビューを増やすには、商品の購入者を対象にレビュー投稿キャンペーンを実施すると良いでしょう。レビュー投稿の特典はポイントやクーポン、ノベルティなどが効果的です。
セール依存で客単価が下がっている
【対策1】セット販売
相性の良い商品を組み合わせたセット商品や、同一商品の2個セットなど、単体で買うよりも総額がお得になるセット商品を作って販売すると、客単価の引き上げにつながります。型番商品を販売している場合でも、独自のセット組みにすることで、販売価格を競合と比較されにくくなるメリットもあります。
【対策2】アップセル
レコメンド機能などを使い、商品を検討しているユーザーに対して、より高単価の商品を提案する「アップセル」を行うと客単価の向上が期待できます。
【対策3】送料無料ラインを設定
送料が無料になる最低購入金額のラインを、平均客単価よりも高く設定すると、客単価を引き上げることができます。
F2転換率が伸び悩んでいる
【対策1】次回購入特典
初回購入時に、次回の購入から使えるクーポンやポイントを付与すると、F2転換を促進できます。
【対策2】サンクスメール
顧客が商品を受け取った直後にサンクスメールを送信し、お礼のメッセージとともにレビュー投稿キャンペーンなどを案内すると、2回目以降の購入につながりやすくなります。
【対策3】同梱物
初回購入商品に入れる同梱物は、リピート促進の鍵になります。定期コースの案内チラシなど宣伝目的の同梱物だけでなく、手書きのメッセージを印刷したお礼状や、商品開発のストーリーを解説する冊子など、売り手の人柄や思いが伝わるコンテンツを同梱するとファン獲得につながるでしょう。
F3~F5転換率が伸び悩んでいる
【対策1】会員ランク
一定期間の購入金額などにもとづいて会員ランクを設定し、ランクに応じて特典を提供すると、優良顧客の増加につながります。
【対策2】定期購入(サブスクリプション)
化粧品やサプリメント、食品など毎月決まった商品を購入する場合は、定期購入(サブスクリプション)に引き上げることでリピート率が向上します。
【対策3】シナリオメール
F2転換率・F3転換率・F4転換率・F5転換率を調査し、リピーターが離脱しやすい購入回数の直前にクーポンメールなどを送ると、離脱率の抑制が期待できます。例えば、F3転換率が低いのであれば、2回目の購入後、商品を使いきる直前にクーポンを付与するといったシナリオを組み、メール配信を自動化するのも良いでしょう。
休眠顧客が増え続けている
過去1年間に注文がない休眠会員に絞ってメルマガを打つなど、休眠の掘り起こしに取り組むと、新規顧客をリピートに引き上げるよりも効率的にリピート会員を増やせる可能性があります。
アウトソーシングを活用してコア業務に集中
ECサイトの売り上げを伸ばすには、ECサイトの現状を把握し、ボトルネックを特定するためのサイト分析が欠かせません。しかし、忙しくて分析に手が回らない場合や、分析のやり方が分からない方もいるのではないでしょうか。
そういった場合には、外部の専門家に相談することをおすすめします。特に、今回のコラムで解説したサイト分析を行うには、GA4などの分析ツールやヒートマップツールなど、さまざまなツールを使う必要があります。ツールの使い方を一から勉強して自分で行うのも良いですが、日々の業務に追われているEC担当者にはハードルが高いかもしれません。
また、自分たちにしかできない商品開発やブランディングといったコア業務に集中したいという方もいるでしょう。
自分たちだけでサイト分析や施策の実行が難しい場合には、専門の業者へのアウトソーシングを活用すると良いでしょう。
サイト分析から施策の実行まで代行・伴走する「eコマース suite」
最後に、NTTドコモが提供しているECソリューションパッケージ「eコマースsuite(リンク設置)」を紹介します。
「eコマースsuite」はECサイトの構築から集客支援、検索課題の改善、コンバージョン率の最大化、リピート促進、顧客体験の向上まで、ECサイトにまつわるさまざまな課題に対して各種ソリューションを提案します。
本稿のステップ1で解説したECサイトの現状把握や、ステップ2〜3で解説したボトルネックの特定と施策の選択など、ECサイトの売上拡大に必要な業務も支援します。サイト内検索エンジンやレコメンド機能、チャットボットなど、ECサイトの売上拡大に直結する各種ツールも提供。そして、UI/UX改善の専門家とも提携し、顧客体験の向上を支援するなど、クライアントのビジネスの成功に伴走します。自社ECサイトに課題を感じている方は、お気軽にお問い合わせください。
お気軽にお問合せください
ご要望に合わせたご提案をさせていただきます。
サービスのご説明をご要望の場合もお問い合わせください。
オンラインミーティングにて対応させていただきます。