“店舗スタッフDX” 成功の鍵は「社員のモチベーションを高める仕組みづくり」「在庫の可視化」「サイト内検索UX」
「店舗スタッフDX」に必要な3つのポイント
「店舗スタッフDX」を推進する上で、押さえておく必要がある3つポイントについて解説します。「①スタッフのモチベーションを上げる仕組みづくり」「②店頭在庫の可視化」「③コンテンツを届けるサイト内検索」の3つです。
【店舗スタッフDXのポイント①】店舗スタッフの「スタッフのモチベーションを上げる仕組み」をつくる
「店舗スタッフDX」のポイントの1つ目は、店舗スタッフの「スタッフのモチベーションをあげる仕組みづくり」です。一般的に、小売店で働く販売員の評価は、個人の販売成績や所属店舗の売上高などにもとづいて決まります。「店舗スタッフDX」を推進する際は、それらに加えて、デジタル施策に対する店舗スタッフの貢献度も考慮することが必要です。
【デジタル施策への貢献度を反映した評価方法の例】
- 店舗スタッフがECサイトに投稿したコーディネート写真を経由して商品が売れた場合、店舗スタッフの評価に反映する
- 店舗スタッフが店頭で接客したことをきっかけに、顧客がECサイトで商品を購入したら、接客した店舗スタッフ(または所属店舗)の実績としてカウントする
- 店舗スタッフがライブコマースに出演した場合、出演回数や視聴者数、コメント数、ライブ経由の売上高などの実績を、店舗スタッフの評価に反映する
- WEB会議ツールを使ったオンライン接客の結果、ECサイトでの購入や、店舗への来店に繋がった場合には、接客した店舗スタッフの評価に反映する
店舗スタッフのデジタル施策に対するモチベーションを高めるには、こうした評価の方法も検討する必要があるでしょう。
経営者の立場からすると、「どこで売れても会社の売上高なのだから、評価の有無に関わらず、店舗スタッフもECに協力してほしい」と考えるかもしれません。
しかし、現場の店舗スタッフの心情としては、「ECで売れても自分の評価にならない(=給料が増えるわけではない)なら、無駄な努力はしたくない」「ECで売れてしまったら、所属店舗の売り上げが減ってしまうから、接客中にECサイトを紹介したくない」と思う人もいるのではないでしょうか。
店舗スタッフの力を引き出すには、店舗スタッフが納得して働ける仕組みを作ることが大切です。
デジタル施策への貢献度を計測する方法
デジタル施策に対する店舗スタッフの貢献度を計測する際は、専用ツールを導入するのも1つの手です。
EC業界で普及しているコーディネート投稿ツールやライブコマース配信ツールの多くは、ツール経由の販売実績を計測する機能が備わっています。また、店舗スタッフが店頭でオンライン注文を行い、商品を顧客宅に直送すると、所属店舗の売上高として計上できるオーダーシステムもあります。自社の取り組みに合わせてツールをピックアップし、導入すると良いでしょう。
InstagramのようなSNSを使ってライブコマースを実施する場合、ライブ配信を視聴したユーザーの購入実績を厳密に計測することはできません。その場合、ライブ配信の開始から数時間におけるECサイトのアクセス数の変化や、ライブ配信で紹介した商品の売れ行きなどを調べることで、成果を推測するといった対応が必要です。
EC売上高を店舗の実績としてカウントすることのメリット
小売企業が店舗ごとに売上計画を設定している場合、店舗スタッフは所属店舗の計画の達成を優先し、デジタル施策に時間を割きたがらないかもしれません。
そういった課題を解決するには、店舗スタッフが関与したEC売上高を所属店舗に計上するのも有効です。例えば、店舗スタッフがECサイトに投稿したコーディネート経由で商品が売れたら、所属店舗の販売実績としてカウントするといった方法です。
EC売上高を店舗の実績として計上することは、店舗スタッフのモチベーションアップにつながるだけでなく、商業施設と良好な関係を保つことにも役立ちます。
商業施設と消化仕入れ(店頭で商品が売れた時点で、商業施設が商品を仕入れる取引形態)の契約を結んでいる場合、店頭で商品が売れなければ商業施設は売上収入を得られません。そのため、店舗スタッフが営業時間中にコーディネート写真を撮影し、ECサイトにアップすることに対して、商業施設の社員が快く思わないケースもあるでしょう。
商業施設に出店している場合には、EC売上高を店舗の実績としてカウントすると、商業施設と良好な関係を維持し、店舗スタッフが伸び伸びと働ける環境を整えることにもつながるのです。
その見返りとして、商業施設に対して仕入れの掛け率の引き下げを打診したり、販促イベントを行う際に商業施設にも協力してもらったりするなど、商業施設との交渉材料に使うのも一案ではないでしょうか。
【店舗スタッフDXのポイント②】店舗在庫やEC在庫をオンラインで可視化
「店舗スタッフDX」を実現するには、店頭在庫の数量を可視化することも重要です。そもそも「店舗スタッフDX」は、オムニチャネルやOMOを実現する手段ですから、前提として店頭在庫の可視化や、ECと店舗の在庫の一元化が欠かせません。
店舗在庫を一元化することで、ECサイトと店舗間のシームレスな顧客体験を提供することが可能となります。さらに喜ぶお客様の姿を目の当たりにすることで店舗スタッフのモチベーションもあがり、結果店舗スタッフDX促進につながります。
店舗在庫の一元化を実現する際に注意すべきこととして、例えば、「店頭取置」や「試着予約」といったサービスをECサイトで提供する場合、店舗ごとの在庫数をECサイトに表示し、欠品した店舗では取り置きや試着予約を行えないようにする、といったシステム開発が必要になります。こうしたシステム開発を行わずに店頭受取サービスなどを行えば、店舗スタッフの業務に皺寄せが行き、現場が混乱する可能性があります。
【店舗スタッフDXのポイント③】コンテンツを顧客に届けるサイト内検索システムを導入
「店舗スタッフDX」のポイントの3つ目は、店舗スタッフが作ったコンテンツを顧客に届けるために、ECサイトの機能を拡充することです。
「店舗スタッフDX」を推進すると、コーディネート写真やライブ配信のアーカイブなど、店舗スタッフが作ったさまざまなコンテンツがECサイトにアップされます。
コンテンツマーケティングを継続的に展開できることも「店舗スタッフDX」に取り組むメリットですが、コンテンツへの導線設計が不十分だと、せっかく作ったコンテンツが顧客の目に触れず、効果が出にくくなります。
コンテンツを宝の持ち腐れにしないためには、ECサイトで商品を探しているユーザーに対して、適切なタイミングかつ自然な方法でコンテンツを届けることが重要です。
その方法の1つが、「キーワード検索の結果に、検索クエリに関連するコンテンツを表示する」という施策です。
例えば、アパレルECサイトで「ワンピース 夏物」を検索すると、検索結果には店舗スタッフが投稿したワンピースのコーディネート画像や、ワンピースを紹介したライブ配信のアーカイブなどが表示されます。
この施策によって、顧客がキーワード検索を実行した瞬間、すなわち、顧客のニーズが顕在化した瞬間に購入を後押しするコンテンツを届けられるようになり、コンテンツマーケティングの効果の向上が期待できます。
キーワード検索の結果にコンテンツを表示する方法
キーワード検索の結果にコンテンツを表示するユーザーインターフェース(UI)の具体例として、サイト内検索エンジン「goo Search Solution」の導入事例を紹介します。
ファッションブランド「SHIPS」の公式オンラインショップでは、キーワード検索の結果に、商品だけでなく店舗スタッフのコーディネート写真や、ライブ配信のアーカイブなども表示されます。表示されるコンテンツは「アイテム」「スタイリング」「スタッフ」「店舗」「動画」といったタブで切り替えることが可能です。
この仕組みは、goo Search Solutionの「コンテンツ検索」という機能を使って実現しました。「コンテンツ検索」の詳細については、goo Search Solutionの「コンテンツ検索」の機能ページをご覧ください。
店舗スタッフの活躍がデジタル戦略の要諦に
日本国内における物販のEC化率は1割近くに達しています。今後、デジタルネイティブのZ世代が消費の中心になっていくことを考えれば、オンラインとオフラインを自由に行き来しながら買い物をする消費者は、さらに増えていくでしょう。
小売企業にとって、ECの成長力を取り込むことが必須であることは言うまでもありません。同時に、小売企業にとって店舗が非常に重要なチャネルであることも、疑いようのない事実です。リアルの場で商品を体験してもらい、店舗スタッフによる接客を通じてブランドのファンを増やす。こうしたことを実現できるのは、店舗を持つ企業のアドバンテージです。
消費者の購買行動の変化に伴い、オムニチャネルやOMOに取り組む小売企業は、これからも増えていくと考えられます。店舗とネットの長所を活かし、相乗効果を生み出すには、システムを導入するだけでは不十分です。小売企業のデジタル戦略において、店舗スタッフがオンライン・オフラインを問わず活躍できる環境を整えることが成功のポイントになるでしょう。
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