BtoBサイトを成功に導く検索機能とは?サイト内検索のリプレイスで確認すべき5つのポイント
企業の仕入れや備品類の購入など、法人取引に使われるECサイト(BtoBサイト)のサイト内検索エンジンは、一般消費者を対象としたECサイトとは異なる機能も求められます。
例えば、検索結果に表示する卸価格を会員ごとに出し分けるなど、法人取引ならではの商習慣に対応しなくてはいけません。またBtoBサイトは一般的に掲載商品数が多いため、会員が探している商品(=買われやすい商品)を検索結果の上位表示するロジックも重要です。そしてBtoCサイト同様、表記ゆれへの対応や、検索結果の並び順を最適化する「運用」を効率的に行える検索エンジンであることは必須の条件でしょう。
今回のコラムでは、BtoBサイトのサイト内検索エンジンをリプレイスする際に、検索エンジンの比較検討段階においてチェックすべき5つのポイントを解説します。
目次
BtoBサイトの主な3類型
BtoBサイトはビジネスモデルに応じて「問屋型」「プラットフォーム型」「メーカー直営型」などに分類されます。
問屋型:問屋や商社が運営する卸サイト(MiSUMi-NOVA、MonotaRO など)
プラットフォーム型:メーカーや問屋が出店・出品する仕入れサイト(SUPER DELIVERY、NETSEA、Amazonビジネス など)
メーカー直営型:メーカーが運営する小売店向けの卸サイト
この他にも、一般消費者に向けて商品を販売しているECサイトが、企業には法人価格で卸売りするなど、BtoCとBtoBの両方を行っている場合もあります。EC市場の拡大に伴い流通が多様化し、メーカー・問屋・小売店の関係性は従来と様変わりしました。現在は「問屋型」「プラットフォーム型」「メーカー直営型」を中心に、大小さまざまなBtoBサイトが存在しています。
BtoBサイトのサイト内検索エンジンを比較する際の5つのポイント
BtoBサイトのサイト内検索エンジンは、法人取引ならではの商習慣に対応する機能が必要です。検索エンジンをリプレイスする際は、特に次の5つのポイントを確認してください。
1.品番検索の表記ゆれ対応
BtoBサイトの特徴の1つは、キーワード検索において品番検索が多用されることです。「NTTR-0001234」のような品番を検索窓に入力して商品を探す場合でも、表記ゆれは発生します。例えば、アルファベットの大文字・小文字、数字の全角・半角、ハイフンの全角・半角といった表記ゆれのパターンです。
BtoCサイトでは、検索窓に品番を入力することがそれほど多くないため、品番検索の表記ゆれを意識することは少ないかもしれません。しかし、BtoBサイトでは品番検索の表記ゆれに対応できているか否かが、検索UXに影響します。
【品番検索の表記ゆれのパターン】
- アルファベットの大文字・小文字
例)NTTR ⇔ nttr - 数字の全角・半角
例)NTTR ⇔ NTTR - ハイフンの有無
例)ntt-r ⇔ nttr - スラッシュの有無
例)NTT/R ⇔ NTTR - スペースの有無
例)NTT r ⇔ NTTr
表記ゆれ対応が必要なのは、品番検索に限りません。BtoBサイトは複数の商品カテゴリで多数のメーカーの商品を網羅することが多く、取扱商品が多岐にわたるため、利用者が検索窓に入力するキーワードのバリエーションは多種多様です。商品の一般名称やメーカー名、ブランド名、用途など、さまざまなキーワードの表記ゆれに対応できる検索エンジンを選びましょう。
2.会員ごとの商品の出し分け
法人取引では、取引先ごとに卸売りする商品の範囲が異なる場合があります。例えば、高額商品は新規会員には卸売りせず、取引回数が一定以上の顧客のみに卸売りするといったケースです。BtoBサイトに使うサイト内検索エンジンは、商品を会員ごとに出し分ける機能が必須でしょう。
検索結果に表示する商品を会員ごとに出し分けるには、商品マスターデータにフラグを設定し、会員の属性に応じて検索結果を変更する方法があります。サイト内検索エンジンを選ぶ際は、こうした機能を実装している製品を選びましょう。特に将来的に会員種別が増える可能性がある場合などは、その点も考慮する必要があります。
3.卸価格(掛け率)の出し分け
法人取引では取引量や与信などに応じて、取引先ごとに商品の卸価格(掛け率)を変えるのが一般的です。BtoBサイトにおいても会員ランクに応じて、検索結果に表示する卸価格(掛け率)を変えなくてはいけません。
卸価格が一定ではないため、価格順で商品を並び替える場合、商品の並び順は会員ごとに変わります。また、価格帯で商品を絞り込んだ際の検索結果も、会員ごとに異なります。
BtoBサイトのサイト内検索は、会員ごとに設定された卸価格に応じて、検索結果を最適化する機能が必要です。
4.検索結果を返す処理スピード
BtoBサイトは検索対象のインデックスが膨大で、処理すべきデータ量も多いため、高い処理能力が求められます。一般的に商品点数が増えれば増えるほど、負荷が掛かり、検索結果のレスポンススピードには時間が掛かると言われています。とは言え、それは提供側の都合であり、ユーザーは「商品点数が多いから仕方ない」と思ってはくれません。
ECサイトの表示スピード(秒数)が遅いと、ユーザーの離脱を招きます。これはBtoBサイトに限ったことではありませんが、商品点数が多いBtoBサイトでは、特に注意をしなければならないところでしょう。
サイト内検索エンジンのリプレイスを行う際は、検索結果の表示スピードも確認してください。
5.運用の効率化
取扱商品数が膨大なBtoBサイトで「表記ゆれ対応」を手作業で行い続けるのは、現実的ではありません。特にBtoBサイトはロングテールが一般的なBtoCサイトより長くなる傾向がありますから、いかにテール部分までケアができるかが重要となります。
人工知能(AI)を活用して自動的に表記ゆれを吸収できる検索エンジンであれば、目視や手作業での表記ゆれ対応が必要なくなり、運用を大幅に効率化することができます。
また、BtoBサイトは掲載商品数が多い上、商品や卸価格(掛け率)を会員ごとに出し分ける必要があり、検索結果を最適化するロジックは複雑になります。会員が探している商品(=買われやすい商品)を検索結果の上位表示する、また売りたい商品を上位に表示するために、検索結果の並び順を最適化する際にAIを活用して運用業務を効率化することで運用の効率化を図ることができるでしょう。
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近年、BtoBとBtoCが混在したECサイトが目立ち始めました。BtoCサイトが卸売りも行うケースや、逆に、BtoBサイトがターゲットを一般消費者にも広げたケースです。
特に 2020年3月以降、新型コロナウイルスの感染拡大によって実店舗に対する卸売りが減少したことを受け、DIYの材料やアクセサリーの部材、プロ向けの食材など、業務用商材のBtoBサイトの運営企業が新たな販路を開拓するためにBtoCを強化する動きもあるようです。
メーカーが消費者に商品を直接販売する「DtoC」は今や当たり前になり、伝統的な商流は崩れました。そして2020年以降は、問屋が一般消費者に直接売る動きが加速し、「法人向けの販売」と「個人向けの販売」の垣根は、あいまいになりつつあります。BtoBとBtoCが一体化したECサイトは、今後さらに増えていくかもしれません。
BtoBサイトを運営しているEC事業者がサイト内検索エンジンをリプレイスする際は、こうした時流の変化も踏まえ、将来を見据えてBtoBとBtoCの両方に対応できる検索エンジンを選ぶと良いでしょう。
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