サイト内検索とは?おすすめの使い方や導入方法を徹底解説
ECサイトやWebサービス、アプリなどに欠かせない「サイト内検索」。その機能や役割、導入メリットなどを分かりやすく解説します。サイト内検索エンジンの選び方や、サイト内検索のトレンドも事例付きで紹介していますので、サイト内検索のリプレイスを検討している方もぜひ参考にしてください。
目次
- サイト内検索とは? Google検索・Yahoo!検索との違い
- サイト内検索の主な機能とは?
- サイト内検索の役割とは?「ユーザーと商品・コンテンツの最適なマッチング」
- サイト内検索エンジンの選び方/検索ツールの設置方法
- サイト内検索の運用方法①(表記ゆれ対策)
- サイト内検索の運用方法② (検索結果の最適化)
- 進化するサイト内検索|音声検索やスマホ時代のタッチ検索
- サイト内検索はECサイトの「接客」
サイト内検索とは? Google検索・Yahoo!検索との違い
サイト内検索とは、ECサイトやコーポレートサイトなど、特定のウェブサイトやアプリの内部にある情報を検索する機能です。ECサイトの商品検索をはじめ、ニュースサイト、レシピサイト、価格比較サイト、求人サイト、コーポレートサイトなどに広く実装されています。
インターネットで情報を検索する際に使われる一般的な検索エンジン(Google・Yahoo!・Bingなど)は、世界中のウェブサイトが検索の対象になりますが、サイト内検索は特定のウェブサイトやアプリの中にある情報のみが検索の対象です。
なお、サイト内検索を稼働させるシステムのことを、一般的な検索エンジンと区別するために「サイト内検索エンジン」と呼びます。
サイト内検索の主な機能とは?
サイト内検索は、検索窓に文字を入力するものだけではありません。特にECサイトのサイト内検索はバリエーションが豊富です。使われているサイト内検索の主な機能には、次のようなものがあります。
キーワード検索:
検索窓に単語や文章などを入力し、キーワードに関する情報を検索する方法。サイト内検索におけるもっともポピュラーな機能であり、ECサイトやWebサービスなどに広く実装されている。「フリーワード検索」と呼ばれることもある。
カテゴリ検索:
「アパレル」「インテリア」「食品」といったカテゴリで情報を検索する方法。例えばファッションサイトにおいては「メンズ」→「アウター」→「ブルゾン」といった具合に、大カテゴリから中カテゴリ、小カテゴリへと絞り込んでいくことをドリルダウン検索と呼ぶ。
絞り込み(ファセット):
特定の条件で検索結果を絞り込む方法。ECサイトではメーカーやブランド、価格帯、商品の色、セール品か否かなど、さまざまな条件で商品を絞り込む方法が用いられている。絞り込み検索は「ファセット」とも呼ばれる。
また絞り込んだあとの検索結果が何件あるのかを示した数字を、「ファセットカウント」と呼ぶ。
音声検索:
スマートフォンやスマートスピーカーなどを使い、音声(しゃべり言葉)で情報を検索する方法。
画像検索:
スマートフォンで撮影した写真や、インターネットからダウンロードした画像などを使い、類似した画像を検索する方法。
チャット検索(チャットボット検索):
チャット形式の検索機能のこと。ユーザーが入力したフリーワードや、選択した項目に対して、チャットのUIで検索結果を返す。検索結果のURLやFAQに遷移させるものや、チャット内で商品を提示したり、情報を表示するものがある。
サイト内検索の役割とは?「ユーザーと商品・コンテンツの最適なマッチング」
サイト内検索の役割は「ユーザーと商品・コンテンツの最適なマッチング」を実現することです。ユーザーの「ほしい」と商品やコンテンツをマッチングさせることで、ECサイトやWebサービスの利便性を高め、売上拡大などにつなげることができます。
例えば、数千種類の商品を扱っているECサイトにおいて、サイト内検索が実装されていなければ、ユーザーは欲しい商品を見つけるのが大変です。商品を見つけることができず、ECサイトから離脱してしまうユーザーも多いでしょう。逆に、そのECサイトに高性能のサイト内検索が実装されていれば、ユーザーは欲しい商品を発見することができ、結果としてECサイトのコンバージョン率(ユーザーが商品を購入する割合)が高まります。特にサイト内検索、とりわけキーワード検索を利用するユーザーは、コンバージョン率が高いと言われています。これは「欲しいものが決まっているユーザーほどいち早く商品に辿り着けるキーワード検索を利用する」という傾向があるためです。
検索クエリのトレンドからニーズを把握
サイト内検索のもう1つの役割は、検索クエリ(検索窓に入力された文字列)や検索履歴からユーザーニーズを把握することです。
例えば、ECサイトのサイト内検索において、特定のブランド名の検索ボリュームが短期間に急増した場合、そのブランドはテレビ番組で取り上げられるなど、なんらかの理由で話題になっている可能性があります。ECサイトの目立つ場所にそのブランドの商品バナーを掲載すれば、売り上げが伸びるかもしれません。
また、「母の日 プレゼント」「父の日 ギフト」「敬老の日 贈り物」「クリスマスプレゼント」といったギフト関連の用語の検索ボリュームが増えてきたら、ギフト需要が盛り上がり始めたサインです。検索のトレンドにアンテナを張っておくことで、需要をいち早く察知し、他社に先駆けて特集ページを作って告知するなどタイムリーに施策を打つことが可能になります。
サイト内検索エンジンの選び方/検索ツールの設置方法
ECサイトなどにサイト内検索機能を実装する方法は、大きく分けると2つのパターンがあります。1つ目はECパッケージシステムなどに備わっている検索機能をそのまま使用する方法。2つ目は、外部のサイト内検索エンジンを導入する方法です。
外部のサイト内検索エンジンを導入すると費用はかかりますが、一般的に検索を専門で提供しているサービスは検索機能が豊富ですし、検索結果の精度も高いため、ECサイトのユーザー体験(CX)を高めることにつながります。
ただし、サイト内検索エンジンにはさまざまな製品があり、機能や性能が異なります。機能の種類や表示スピード、システムベンダーの要件定義の対応力、システムのセキュリティ、サーバの安定稼働、導入後の運用方法(手動・自動)などをチェックし、吟味して選択することが欠かせません。
サイト内検索エンジンの選び方や、検索ツールの設置手順(検索エンジンベンダーとの打ち合わせ、契約後の要件定義、開発、テスト、ローンチ後の運用)については、過去の記事で詳しく解説しています。サイト内検索エンジンの導入やリプレイスを検討している方は参考にしてください。
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◆システム選びの解説記事
【チェックシート有】サイト内検索の選び方を解説!料金や機能だけではないベンダー選定のチェックポイント
◆導入手順の解説記事
初めてのリプレイスでも安心!サイト内検索の導入フローと注意点を図版で解説
サイト内検索の運用方法①(表記ゆれ対策)
サイト内検索は、導入すれば良いというわけではありません。0件ヒット(検索結果に商品が表示されないこと)を減らしたり、検索結果を最適化したりするには、導入後の運用が不可欠です。サイト内検索の運用において特に重要である「表記ゆれ対策」と「検索結果の最適化」の方法を解説します。
表記ゆれ対策
「表記ゆれ」とは、同じ商品を探しているのに、検索で使う単語(検索クエリ)が異なることを表した用語です。例えば、ファッションの「デニムパンツ」を検索する際に「ジーンズ」「jeans」「ジーパン」「Gパン」といった複数の言葉が使われることを表記ゆれと呼びます。略語やスペルミス、送り仮名の違い、誤字脱字なども表記ゆれの原因になります。
表記ゆれへの対応が不十分だと、検索結果に商品が正しく表示されず、機会損失が発生する可能性があります。例えば、食品を取り扱うサイトで、「りんご」の商品マスタに「りんご」というキーワードしか登録されていない場合、ユーザーが「リンゴ」「林檎」「アップル」といったキーワードで検索しても商品がヒットせず(0件ヒット)、ユーザーが商品を見つけられません。
表記ゆれ対策を行うことで、0件ヒットを減らし、ECサイトでキーワード検索を行ったユーザーが商品を見つけやすくすることができます。キーワード検索を使うユーザーは目的買いが多く、購入意欲が高いユーザーです。せっかく買う気満々のお客様がお店の中(ECサイト)まで来てくれたのに、商品が見つからずに離脱してしまう事態を避けるために、サイト内検索の最適化が不可欠なのです。
表記ゆれ対策は「手動」と「AI活用」がある
表記ゆれの問題を解決するには、手動による対策と、AIを活用した対策(自動運用)があります。それぞれの方法とメリット・デメリットを解説します。
①手動の対策
表記ゆれに手動で対策する場合、商品ごとの表記ゆれのパターンをリストアップして商品マスタに登録する方法と、表記ゆれのパターンをサイト内検索エンジンの辞書に登録する方法があります。
手動で対応すると、表記ゆれのパターンに気が付いたときにすぐに対応できることがメリットです。ただし、商品数やユーザー数が多いECサイトでは、表記ゆれのパターンを目視で探し、登録するには多くの労力と膨大な時間がかかります。また人手出来る範囲は「目につく範囲」に限られ、人間が気付かない部分に手を付けることが難しい問題があります。表記ゆれはどんどん新しいパターンが出てきますので、その都度作業する必要があり、対応に終わりがありません。
しかも、表記ゆれ対応の良し悪しは、担当者の経験やスキルに依存するため、人によって効果に差が出たり、担当者が退職すると運用が困難になったりする問題も生じます。
②AI活用
表記ゆれの問題をAIで解決する方法もあります。例えば、サイト内検索でどのような表記ゆれが起きているのかをログから解析し、AIが表記ゆれ辞書を自動的に更新(表記ゆれのパターンを自動で追加)する方法です。
この方法では人力で表記ゆれに対応する必要がないため、業務を大幅に効率化できるほか、担当者のスキルや経験に頼ることがないため、効果が属人的になることもありません。何より、ロングテールのテールワードに対応することができます。これは人手では絶対に成しえない大きなポイントになります。
なお、goo Search SolutionはAI方式を採用しています。AIを活用して表記ゆれを吸収し、適切な検索結果を表示する方法について詳しく知りたい方は解説記事をご一読ください。
【関連記事】
EC拡大で検索の「表記ゆれ対策」はますます重要に。原因と解決策をわかりやすく解説
サイト内検索の運用方法② (検索結果の最適化)
サイト内検索の表記ゆれ対策と並行し、ユーザーが求めている商品を検索結果の上位に表示すること(検索結果の最適化)も重要です。
ECサイトで使われるサイト内検索では、売れ筋の商品や、企業が売りたい商品を検索結果の上位に表示することも多いようです。ただ、それだけではユーザーにとって最適な検索結果とは言えません。ユーザーにとって心地よい検索体験を実現するには、ユーザーが求めている情報を、検索結果の上位に表示することが重要です。
ユーザーが求めている情報を検索結果の上位に表示する方法についてgoo Search Solutionを例に挙げて解説します。goo Search SolutionではECサイトのログ(検索クエリや行動履歴など)をAIが学習し、その学習結果を踏まえて検索結果の並び順を決定します。具体的には、ユーザーが使った検索クエリや、その後の閲覧履歴や購入履歴などの行動データをAIが分析し、キーワードごとに検索結果の並び順を最適化します。
AIによって検索結果を最適化する方法について、過去記事で詳しく解説していますので興味のある方はぜひご覧ください。
◆詳しい解説記事はこちら:UXから考える、ECのサイト内検索の表示順位を最適化するロジックとは?
進化するサイト内検索|音声検索やスマホ時代のタッチ検索
サイト内検索の機能は進化を続けており、キーワード検索やカテゴリ検索、絞り込みといった従来の検索機能にとどまらず、音声検索やタッチ検索、メディアコマースに対応した検索など、さまざまなサイト内検索機能がすでに実用化されています。goo Search Solutionの導入事例を紹介します。
音声検索
大手オークションサイト「モバオク」は2019年7月にgoo Search Solutionの音声検索機能を導入しました。検索窓の右端にあるマイクのアイコンをタップすると、音声検索アシスタントが立ち上がり、ユーザーが音声検索ボタンを押しながら探したい商品についてしゃべると、検索条件がいくつか表示され、検索条件をタップすると検索結果(商品)が表示されます。
タッチ検索
検索タグやキーワードなどをタッチして商品を検索するUI(タッチ検索)も広がり始めました。ユーザーが検索で使う可能性が高いキーワードが検索窓の下などに表示され、ユーザーはワンタッチで商品を探すことができます。
スマホサイトは片手で操作することが少なくありません。例えば通勤・通学中に電車内でつり革を持ったままECサイトを閲覧している際に、タッチ検索であれば簡単にキーワード検索を行うことができます。ネットショッピング利用時のデバイスはすでにスマホがPCを上回っており※1、今後さらにタッチ検索の利用は拡大していくでしょう。
※1 2021年の日本国内BtoC-EC市場(物販)におけるスマートフォン経由の比率は50.9%(経済産業省商務情報政策局 情報経済課「令和2年度 電子商取引に関する市場調査」P.62 より)
音声検索やタッチ検索をはじめ、サイト内検索のトレンドを解説している記事もぜひご一読ください。
◆詳しい解説記事はこちら:ECサイトのUXが変わる、新たな直感UI「音声検索」がもたらす新しい買い物のカタチ
◆詳しい解説記事はこちら:スマホ時代は「買い物の導線もデザイン」する、ECにおける「タッチで検索」の重要性とは?
◆詳しい解説記事はこちら:メディアコマースに適したサイト内検索とは?事例を交えて最新トレンドを解説
サイト内検索はECサイトの「接客」
ECサイトにおけるサイト内検索は、実店舗の接客になぞらえることができます。
例えば、ECサイトを訪れたユーザーがサイト内検索を使って商品を探す行為は、小売店を訪れた顧客が商品の陳列場所を店員に聞くようなものです。
ユーザーが探している商品を即座に検索結果の上位に表示すれば、顧客はその商品を購入する可能性が高まります。
逆に、サイト内検索の表記ゆれ対応が不十分で0件ヒットが発生することは、小売店の店員が顧客に対して「商品の場所は分かりません」と回答するようなものなのです。
ECサイトにおけるサイト内検索は接客の1つであると捉えれば、0件ヒットを減らすことや、検索結果の最適化を行うことの重要性を直感的に理解できるのではないでしょうか。対面で接客できないECだからこそ、サイト内検索の運用改善によって快適なショッピングを実現することが大切です。
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